私の部屋にはピアノがある。そのピアノは私のお母さんが私のおじいちゃんから買ってもらったもので、お母さんやお母さんの妹や、そして私も小さい頃使っていたものだ。
私は小学一年生から六年生までの間、ピアノを習っていた。きっかけはお母さんに言われて、何となく始めたんだったと思う。中学生になると部活が始まって忙しくなり、あっさりと止めてしまった。今思えば続けていれば良かったのになと思う。
ピアノを習っていた頃は、ピアノがあまり好きではなかった。ピアノの先生はとても綺麗な人だったけれど、神経質なところがあって上手くピアノが弾けないとすぐに怒った。中にはぶたれた子もいた。だからピアノ教室にはいつもピリピリした雰囲気が漂っていた。私はピアノの練習をきちんとしなかったからよく叱られたものだ。ピアノを見るとそんな想い出が蘇ってくる。
ピアノを習っていた頃はピアノの練習が嫌いだったのに、ピアノをやめるとピアノの練習をしてみたくなるから不思議だ。この間、好きなバンドのピアノ楽譜を見つけて、思わず買ってしまった。
楽譜が届いたら……練習を沢山しよう!好きな曲を弾けるようになろう!好きなバンドの曲を自分の手で演奏できるなんて!やる気満々、意気込んでいた。
ところが…である。いざ楽譜が届くと、楽譜を手に入れた事に満足してしまい、どうもピアノの練習へ進まない。あんなにあったやる気も泡のように消えてしまった。しかし、おそらく楽譜が手元からなくなってしまうと、また欲しくなってしまうような気もする。そして、またピアノが弾きたいと思うのかもしれない。私にはどうも手に入れるまで追いかけるのが好きな性質があるようだ。無い物ねだりしてる内が楽しいのかもしれない。
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